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周回展示の艇間隔は旋回力の差
周回展示には3回のターンがあります。スピードが乗っていて,なおかつ旋回半径の小さいターンが理想です。スピードが遅く旋回半径の大きなターンと比較すると、かなりの差になってきます。目に見える距離の差です。
周回展示時のバックストレッチでの各選手の間隔は重要です。
直線でもスピードが乗っていて、前を走る選手を追いかけていれば、追いかけている選手の方がモーターが出ていると判断できます。
一部分に特化した見方は無理がある
レース場で周回展示を見る場合、6選手の全部のターンを見ることはかなり難しいです。
1マークに近い位置だと2マークの動きを見ることができません。2周目のバックストレッチの間隔についても、6艇すべては無理です。そのため、ターンの見落としがないように1周1マーク、2周1マークをVTRで放送してくれるレース場もあります。
テレビ映像だと時間差で2マーク、1マークの2カ所の動きを把握できるので、その点は安心です。
以前、『モンキーターンを科学する』という番組で、池田浩二と原田幸哉のターンを比較したところ、ターンのやり方、方向性とも全く違いました。先行艇の作る航跡に対して、その内側に切り込むターンをするかに注目するという人や、ターンマークに入る位置で、選手が何を考えてターンをしているかわかるといった人もいますが、すべての選手が同じ心積もり、同じやり方でターンをしていない以上、単純な比較は無効です。
選手も展示航走で機力差を見ている
選手によってターンに個性があるので、単純に比較しても正確には比較できません。それでも、展示航走から舟券に直結する情報を探し出さなければなりません。それが、「どういった周回展示なのか」です。
具体的に見るのは、1周目と2周目のポートの間隔です。ホーム側を走っている艇と、バック側を走っている艇を比べて、バック側の艇が前の方にいれば, バック側の艇が出ているか、ホーム側の艇が出ていないかです。
選手にとっても、自分のモーターが相手よりも強いかどうかは重要事項です。1周目でパック側の艇の位置を確認しておき、2周目でもう一度確認して比較するといった選手もいます。直線時に前を走る艇の位置を確認することで、自分が詰めているか、詰めていないかを判断するという選手もいました。
以前は多くの選手が、レースの合間に足合わせを行っていました。水面がボートでいっぱいになるくらいでした。2艇で走ってくれるので、どちらのモーターが出ているかが簡単にわかります。優勝戦ともなると、走る前から勝者が決まっていると言われたものです。選手持ちプロペラになって足合わせをする選手が減り、備え付けプロペラの今は、選手自身の体感頼りといったところがありよす。
いずれにしても、モーター評価を選手は大切にしています。選手がそれほど注目しているものを軽視するのは、良くないことです。舟券作戦の基本中の基本かもしれません。
展示航走の全能力をどう解釈するか
取材でピットに入ると、出場選手に対するいろいろな通達が貼り出されています。最近目にしたのは、展示航走に対する通達です。「ファンは展示航走を舟券購入の判断材料にしているので、選手は全能力を発揮して展示航走をすること」といった内容だったと思います。
しかし、展示航走での全能力とは、どれくらいの能力のことなのでしょうか。「本番と同じ能力」 と解釈する選手もいれば、「転覆しない程度の能力」と解釈する選手もいます。展示航走で転覆して本番レースに出場できないのでは話になりませんから。「全速でターンをするとプロペラが開くので、開かない程度の能力」で走る選手もいます。展示航走でプロペラが開けば、本番は展示航走以下の走りしかできません。
スタート展示を終えて周回展示にするときに,選手後ろを振り向くようにしてモーターに手をやっているのを見たことはありませんか? モーターが焼け付かないように、ニードルを開けてガソリンの流入量を増やしているのです。本番になるとニードルを絞って行きばす。いずれも、展示航走と本番レースで走りが変わります。
「選手によってやり方に差がある周回展示は、比較対象にならない」という、記者や解説者もいます。
そういう人たちは展示航走を見ず,選手が全力を尽くして走る実戦のみでモーター評価をしているようです。
グレーゾーンのモーターを評価する
レース直前のモーターの動きを評価する方法として、◎○△を使うのが一般的です ABCでやったり、10点法を採用しているところもあります。気配の違いを表現するためです。差が分かれば十分です。1着を並べるようなモーターは出ているに決まっています。6着を並べるモーターがボロなことも、誰が見たってわかります。
難しいのは、グレーゾーンのモーター評価です。グレーゾーンのモーター評価は、実戦での競り合いが判断材料になります。1マークを出たところで6着だったものが、ゴール時には3着まで追い上げていたとすれば、そのモーターは◎です。
ターンごとに着順を落として行くのなら、モーター評価は△です。併走するシーンがあれば、どちらのモーターが強いかひと目でわかります。差がなければ、無理に差をつける必要はありません。同じなら同じで舟券の買い方があります。そうしたものの積み重ねによって、モーター評価の精度を上げていきます。
モーター評価をするのは、どんな方法でもかまいません。自分が一番納得できる方法を選ぶことです。「展示航走を見てもわからない」という人は、スポーツ新聞やホームページなどのモーター評価に頼っても問題ありません。スポーツ新聞は紙面の関係でモーター評価を印1つでカバーしているころもあります。
各レース場のホームページの方は、専任の記者なり関係者が行っているので、モーターの動きについての情報は新しくて、信頼度も高めです。「赤の他人が評価したものなど信用できない」のなら、自分でモーター評価をするしかありません。おそらく何を選択しても、決定的な差は出ないと思います。
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